TSUZAKIレポート
J.ラサール テイスティングセミナー
モンターニュ・ド・ランスのRM生産者J.ラサールの当主、シャンタル・デュセール・ラサール氏が来日し、輸入元(株)AMZ主催にて2014年7月テイスティングセミナーが行われました。この日、通訳を務められたのは、フランスで活躍するクルティエ「ソシエ・デ・サカグチ」の坂口かおり氏です。その模様をお伝えします。
シャンパーニュ地方北部に位置するモンターニュ・ド・ランス地区のグランクリュ、ピュイジー村とプルミエクリュ、シニー・レ・ローズ村などに計11.5haの畑を所有するRM(レコルタン・マニピュラン)の生産者です。ドメーヌの所在地シニー・レ・ローズ村を中心に10kmに広がるプルミエクリュのうち7つに畑を所有しています。しかも所有するすべての畑がグランクリュかプルミエクリュとなっています。
J.ラサールの最大の特徴は、女性3代で運営される稀有なドメーヌであること。イタリア出身の母、オルガさんは92才(セミナー当時)にしていまだ現役!2006年からは、シャンタルさんの娘、アンジェリーナさんも加わり、それぞれが栽培から販売戦略に至るまですべての仕事を役割分担することなくになっているといいます。
娘さんのアンジェリーナさんはファッション業界の出身で、イヴ・サンローランにも勤めていたことがあるんだとか!彼女が加わったことで、時代に合わせてよりよく変化していこうという新たなセンスとパワーが生まれています。
そんなJ.ラサールのシャンパーニュは、女性ならではのフェミニンさや華やかさに溢れた非常に女性的な味わいであることが特徴です。その評価は著名なシャンパンハウスと肩を並べるほど高いものです。
生産量の80%を海外に輸出。そのうち18%がヨーロッパ。フランス国内は10%です。栽培しているのは、ピノ・ノワール、ムニエ、シャルドネの3品種。全体におけるそれぞれの栽培比率は、25%、50%、25%。そのほとんどが父であるジュール・ラサール氏の時代に植樹された樹齢50年あまりの古木です。
ジュール氏の時代から使用してきたというプレス機も現役。4000kgを圧搾可能だそう。6000kg圧搾可能な重力を使用する新型プレス機と共に活躍しています。新旧共に3時間程度プレスに要します。一番搾り果汁のみを使用し、それ以外はネゴシアンに販売しています。
プレス後は、12時間清澄を行い、その後加糖します。糖度11度のジュースを加えていきます。ステンレスタンクを新たに導入し、アルコール発酵を行っています。アルコール発酵は、ステンレスタンクで温度18℃でアロマをキープさせ、約8日間行います。その後マロラクティック発酵を行っています。
発酵は、パーセルごとに行い、それぞれのキュヴェにアッサンブラージュし瓶詰。熟成期間は、スタンダードキュヴェで4年。ミレジムで10年です。すべてシュール・リーで熟成させています。ルミアージュは、ピュピトルで3週間の間毎日1日2回、1/8回転ずつ手作業にて行っています。
ドサージュには、蔗糖から作られたリキュールとリザーヴワインをベースに行われます。バランスの取れたシャンパーニュに仕上がるよう基本的にはブリュットです。
全てのボトルには、デゴルジュされた日付が記載されています。ボトルの下部に入っていますが、ラベルの下になっているかもしれません。
新しいニュースとしては、4haの畑を新たに購入したことです。すべて所有する畑に隣接しており、テロワールを壊すことなく表現できます。この4haの畑を購入したことで、年間15万本の生産を目標にしています。
紹介された娘のアンジェリーヌさんの言葉も印象的でした。
『ワイン業界において女性であるということは、毎日が挑戦です。私の目指すところは、ブドウ栽培家として成功するとともに、自分たちのシャンパンを通して、昔から家系に引き継がれるシャンパンへの情熱を世界中に伝えていくことです。ジュール・ラサールが築いた昔からのスタイルとフィロソフィーを守ることは、私たちにとって何よりも重要なことなのです。』
シャンタルさんは、セミナーの最後にこう語ってくれました。
『父が築き上げたスタイルに女性の時代のフェミニンさ、女性にしかできないことをプラスして皆様にお届けしたいと思っています。』